出典:青空文庫
・・・仏国革命が民衆のための革命として勃発したにもかかわらず、ルーソーやヴォルテールなどの思想が縁になって起こった革命であっただけに、その結果は第三階級者の利益に帰して、実際の民衆すなわち第四階級は以前のままの状態で今日まで取り残されてしまった。・・・ 有島武郎 「宣言一つ」
・・・洋文ではヴォルテールの「シヤル・十二世」を激賞して居た。四 先生の文章は其売れ高より言えば決して偉大なる者ではなかった。先生の多くの著訳書中、其所謂「生前の遺稿」なる「一年有半」及び「続一年有半」が翼なくして飛んだ外は、殆ど・・・ 幸徳秋水 「文士としての兆民先生」
・・・ 分を知ることだよ。繰り返して言うが、君たちは、語学の教師に過ぎないのだ。所謂「思想家」にさえなれないのだ。啓蒙家? プッ! ヴォルテール、ルソオの受難を知るや。せいぜい親孝行するさ。 身を以てボオドレエルの憂鬱を、プルウストのアニュイ・・・ 太宰治 「如是我聞」
・・・ここはもうフランスの国境近くで、屋敷のベランダから牧場越しに国境の森が見え、またヴォルテールの住まっていたという家も見えます。毛氈のような草原に二百年もたった柏の木や、百年余の栗の木がぽつぽつ並んで、その間をうねった小道が通っています。地所・・・ 寺田寅彦 「先生への通信」
・・・昔は Monsieur de Voltaire, Monsieur de Buffon だなんと云って、ロオマンチック派の文士が冷かしたものだが、ピエエルなんぞはたしかにあのたちの貴族的文士の再来である。 オオビュルナン先生は最後に書い・・・ 著:プレヴォーマルセル 訳:森鴎外 「田舎」
・・・父マルクスは十八世紀フランス哲学を深く学び、ディドローや、ヴォルテール、悲劇作者ラシーヌの作品などから影響をうけていた。 青年時代のカールは、生活の自然なよろこびを心おきなく楽しみ、人づきあいも広く、勉強ずきだが、学資はいつの間にやらた・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・妨害を行った二人の被告が、検事から「罰として労役に服すか、ヴォルテールの言葉を一人は五百遍、一人は三百遍書きうつすか」ときかれて、ヴォルテールの言葉を写す方を選んだエピソードも生れた。彼等が幾百ぺんかかきうつしたヴォルテールの言葉というのは・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・近代民主主義の先駆者であったルソーのほかに、ヴォルテールやディドロのような、近代思想の啓蒙家があらわれた。 一七九三年のフランス大革命によって、フランスおよび全ヨーロッパに新しい息吹きがふきこまれた。このフランスの大革命の中心人物であっ・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」