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・・・けれども、川端康成が三月号の『文学界』に発表している「天授の子」をよめば、現代の文学者が、その理性と人間的な感覚とを日本人の運命とその文学の運命とについて、どのように働かせはじめているかということは明瞭である。世界平和のために戦争挑発とたた・・・
宮本百合子
「五月のことば」
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・・・これまでは宗玄をはじめとして、既西堂、金両堂、天授庵、聴松院、不二庵等の僧侶が勤行をしていたのである。さて五月六日になったが、まだ殉死する人がぽつぽつある。殉死する本人や親兄弟妻子は言うまでもなく、なんの由縁もないものでも、京都から来るお針・・・
森鴎外
「阿部一族」