出典:青空文庫
・・・ 土佐における大地変の最初の記録としては、西暦六八四年天武天皇の時代の地震で、土地五十万頃が陥落して海となったという記録があり、それからずっと後には慶長九年と宝永四年ならびに安政元年とこの三回の大地震が知られており、このうちで、後の二回・・・ 寺田寅彦 「怪異考」
・・・ 風の強さの程度は不明であるが海嘯を伴った暴風として記録に残っているものでは、貞観よりも古い天武天皇時代から宝暦四年までに十余例が挙げられている。 千年の間に二十回とか三十回といえばやはり稀有という形容詞を使っても不穏当とは云えない・・・ 寺田寅彦 「颱風雑俎」
・・・が現われており、またその二十九巻には天武天皇のみ代における土佐国大地震とそれに伴なう土地陥没の記録がある。 地震によって惹起される津波もまたしばしば、おそらく人間の一代に一つか二つぐらいずつは、大八州国のどこかの浦べを襲って少なからざる・・・ 寺田寅彦 「日本人の自然観」