出典:青空文庫
・・・なまじ、魯迅を知り、魯迅の文学論を読む機会があっただけ、そしてエドガア・スノウの「支那の上の赤い星」の描写が刻みつけられているだけ、この自分でも読めそうで読めない現代中国文学は、不断の魅力となっているのである。「春桃」は昭和十四年に支那・・・ 宮本百合子 「春桃」
・・・先頃亡くなった中華のゴーリキイと言われた作家魯迅の存在は、全く以上のような特殊な国情を反映していた。 さて、では日本に於けるヒューマニズムはどういう展望の下に置かれているであろうか。非常に複雑なものがある。第一日本では政治上の人民戦線が・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムの諸相」
・・・の肌あいにも十分感じられるし、魯迅の小説にも生々しく息づいている。 日本の文学が大陸文学と云いはじめてから、その文学のために奔走する人々は、どの程度までこういう点についての感覚を目ざまされて来ているのだろう。 大陸文学という呼び名が・・・ 宮本百合子 「文学の大陸的性格について」
・・・郭沫若の自伝に、その切ない物語がある。魯迅でさえも、その人間らしい誠実な一生のうちに、この悲劇の一筋をふんでいた。夏目漱石の「行人」は、日本の大正年代の知識人の「家」から蒙っている苦悩こそ、テーマである。 憲法が改正されて、民主的という・・・ 宮本百合子 「離婚について」