出典:青空文庫
・・・ニュートン、アインシュタイン、プランク等のした仕事もまた物理学史上のそれぞれの橋の袂であったとも云われる。 われわれ個人にとっていちばん重大なのはわれわれの内部生活における、第一並びに第二の意味における橋の袂である。ここでわれわれは身を・・・ 寺田寅彦 「さまよえるユダヤ人の手記より」
・・・ 河流の蛇行径路については従来いろいろの研究があり、かの有名なアルベルト・アインシュタインまでが一説を出していたようである。しかし場合によっては、これが単に河水の浸蝕作用だけではなくて、もっと第一次的な地殻変形の週期性によって、たとえ全・・・ 寺田寅彦 「自然界の縞模様」
・・・、また謙遜ないしは聞きおじしてあえて近寄らない人もあるだろうし、自分の仕事に忙しくて実際暇のない人もあるだろうし、また徹底的専門主義の門戸に閉じこもって純潔を保つ人もあるだろうし、世はさまざまである。アインシュタイン自身も「自分の一般原理を・・・ 寺田寅彦 「相対性原理側面観」
・・・とは事変るが、アインシュタインの相対性原理がまだ十分に承認されなかった頃、この所論に対する色々な学者の十人十色の態度を分類してみると、この『徒然草』第百九十四段の中の「嘘に対する人々の態度の種々相」とかなりまでぴったり当て嵌まるのは実に面白・・・ 寺田寅彦 「徒然草の鑑賞」
・・・しかしアインシュタインは古い昔のガリレーをほじくって相対性原理を掘りだし、ブローイーは塵に埋もれたハミルトンにはたきと磨きをかけて波動力学を作りあげた。 時々西洋へ出かけて目新しい機械や材料を仕入れて来ては田舎学者の前でしたり顔にひけら・・・ 寺田寅彦 「猫の穴掘り」
・・・ 近ごろ、アインシュタインの研究によってニュートンの力学が根底から打ちこわされた、というような話が世界じゅうで持てはやされている。これがこういう場合にお定まりであるようにいろいろに誤解され訛伝されている。今にも太陽系の平衡が破れでもする・・・ 寺田寅彦 「春六題」
・・・また相対性原理を設立したアインシュタインが子供のときに独りでこの定理を見付けたとかいう話が伝えられている。この同じピタゴラスがまた楽音の協和と整数の比との関係の発見者であり、宇宙の調和の唱道者であったことはよく知られているようであるが、この・・・ 寺田寅彦 「ピタゴラスと豆」
・・・たとえばハミルトンがもっと長生きをしたとか、アインシュタインが病気したとか、欧州戦争がなかったとか、そんなような事情のために、物理学の体系が現在とはいくらかでもちがった形をとることは可能ではないか、少なくもこういう疑問を起こしてみることは必・・・ 寺田寅彦 「物理学圏外の物理的現象」
・・・後年アインシュタインに対する反ユダヤ人運動でひどく器量を悪くしたゲールケはやはり一座の中でいちばん世間人らしいところがあった。若くて禿頭の大坊主で、いつも大きな葉巻を銜えて呑気そうに反りかえって黙っていたのはプリングスハイムであった。イグナ・・・ 寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
・・・アメリカの科学者たちが、アインシュタインをはじめとして、人類の平和のための原子力の使いかたを主張していることは、くりかえして報道しないで、こんどは原子力よりももっと殺戮力のつよい放射線の雲をつくることが発明されたなどと、得意そうに報道しまし・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」