出典:青空文庫
・・・ アインシュタインはこの「物理学はいかに創られたか」原名の序文できわめて示唆に富んだ数言を述べている。「この書物を書く間に、私たちは之をどんな人たちに読んでもらうべきかについてかなり論じ合い、またわかり易くすることについて苦心しました。・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
・・・ イギリスの皮肉屋の爺さんであるバーナード・ショウだの、現代物理学の神であるアインシュタインだのが日本の能楽の価値を理解したのは、文化への共感として当然であるけれども、そして、外務省が出版する雑誌やパンフレットに能の美を語る理由もわかる・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
・・・三十代の作家の流行性との連関で、アインシュタインの「相対性原理」が科学からおよそ遠い恋愛の秘術か何かを明かにした本だと誤認した読者たちが、その誤認にもかかわらずどしどし買って恐ろしい流行の現象をつくりあげた事実を回顧し、作家として三十代の流・・・ 宮本百合子 「今日の読者の性格」
・・・石原氏がその学説の解説者として自身を示したアインシュタインのナチから受けた迫害などを実際に見て、果して石原氏の感想はどうであろう。アインシュタイン自身が自分の心持からレーニングラードのアカデミーで働くのなどはいやだというのと、ソ連がもし希望・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・独占資本の独裁、商業主義の独裁のもとにおける文化の悲しむべき境遇について、ロマン・ロランが闘ったように、アインシュタインが闘いつつあるように、私たちは闘わねばならぬと思います。これが当面の任務です。 社会主義社会での文化の諸問題――わた・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・ 昔アインシュタインが日本へ来たとき、民衆の歓迎ぶりを瞠目して、自分がこのような歓迎をうけるのは、日本の国民全体がそんなに物理学の原理へ興味を抱いていることなのかどうかと、深いおどろきと疑問に陥った感想を語っていた。これも意味ふかく、折・・・ 宮本百合子 「市民の生活と科学」
・・・私たち日本の女性も、その名と作品とはいくらか知っている文学者トーマス・マンが、ドイツからアメリカへ亡命したのはなぜであったろうか。アインシュタインがアメリカへゆき、ジョリオ・キューリー夫妻がパリーのキューリー研究所をすててスイスへ逃れたのは・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
・・・その記事は日本の新聞にも出た。アインシュタインは何と云っているだろう。原子力の人類平和的利用のためにアメリカの科学者を中心として世界の科学者が努力している。ユネスコの精神は何であろうか。資本家であり、社会主義者でさえないウォーレスが、第三党・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・ 一九四八年の四月、アインシュタイン、ハリソン、ブラウン、フレデリック、セイツなど六人の自然科学者が、プリンストンで警告声明を発表した。「文明が脅威をうけるのは科学者の仕事を通してであったが故に、科学者は世界において特殊な責任の地位にあ・・・ 宮本百合子 「私の信条」
・・・通った論文も、アインシュタインの相対性原理の間違いを指摘したものだと云ってましたがね。」 異才の弟子の能力に高田も謙遜した表情で、誇張を避けようと努めている苦心を梶は感じ、先ずそこに信用が置かれた気持良い一日となって来た。「ときどき・・・ 横光利一 「微笑」