せ‐じょう〔‐ジヤウ〕【世上】例文一覧 18件

  1. ・・・私店けし入軽焼の義は世上一流被為有御座候通疱瘡はしか諸病症いみもの決して無御座候に付享和三亥年はしか流行の節は御用込合順番札にて差上候儀は全く無類和かに製し上候故御先々様にてかるかるやきまたは水の泡の如く口中にて消候ゆゑあはかるやき・・・<内田魯庵「淡島椿岳」青空文庫>
  2. ・・・ もし、その作者が、真実と純愛とをもって世上の子供達を見た時には果していかに感じたでありましょうか。 貧富の相違はもとより、自からの力によって、いまだ全く生活することのできない彼等は、土地、両親、境遇、そして性質等によって、見る・・・<小川未明「新童話論」青空文庫>
  3. ・・・そして、たゞ、こゝにも世上の喧轟を他にして、月日が流れていることを思わせたのであった。 思うに、ある年のある日、旅人は、夕日に彩られた街を喘ぎながら歩いていたであろう。そして、胸に苦しみを覚えた刹那に、どちらかの空を仰いで、その地平線の・・・<小川未明「ラスキンの言葉」青空文庫>
  4. ・・・ かれ男爵、ただ酒を飲み、白眼にして世上を見てばかりいた加藤の御前は、がっかりしてしまった。世上の人はことごとく、彼ら自身の問題に走り、そがために喜憂すること、戦争以前のそれのごとくに立ち返った。けれども、男は喜憂目的物を失った。すなわ・・・<国木田独歩「号外」青空文庫>
  5. ・・・ただし事皆世上には知られぬよう、臙脂屋のためにも此方のためにも、十二分に御斟酌あられい。ハテ、心地よい。木沢殿、事すでにすべて成就も同様、故管領御家再興も眼に見えてござるぞ。」というと、人々皆勇み立ち悦ぶ。「損得にはそれがしも引廻さ・・・<幸田露伴「雪たたき」青空文庫>
  6. ・・・ そう云えば近頃世上で大分もてはやされる色々の社会的の問題に関する弁論や主張や宣伝中の一、二パーセント、あるいは二、三十パーセント、事によるともっと意外に大きいパーセントがやはり一種のシッタシズムの産物ではあるまいかという疑いが起った。・・・<寺田寅彦「鸚鵡のイズム」青空文庫>
  7. ・・・汽船の夜の蓄音機はこのごろどうなったか知らないが、これに代わるべきさらに強烈なものは今の世上にあまりに多い。いつまでもこのような不平を超越しないでいては自分のような弱い神経をもったものは生存そのものが危うくなるであろう。 汽船の外でも西・・・<寺田寅彦「蓄音機」青空文庫>
  8. ・・・現に今日世上に名ある有為の紳士賢婦人など言う輩にして、母の手に育てられたる者は少なからざる可し。賢婦家を興し愚婦家を亡ぼす。一家の盛衰に婦人の力を及ぼす其勢力の洪大なるは、之を男子に比較して秋毫の差なし。而して其家を興すは即ち婦人の智徳にし・・・<福沢諭吉「女大学評論」青空文庫>
  9. ・・・故に世上有志の士君子が、その郷里の事態を憂てこれが処置を工夫するときに当り、この小冊子もまた、或は考案の一助たるべし。一、旧藩地に私立の学校を設るは余輩の多年企望するところにして、すでに中津にも旧知事の分禄と旧官員の周旋とによりて一校を・・・<福沢諭吉「旧藩情」青空文庫>
  10. ・・・天下の父母は必ずその子を愛してその上達を願うの至情あるべしといえども、今日世上一般の事跡に顕われたる実際を見れば、子を取扱うの無情なること鬼の如く蛇の如く、これを鬼父蛇母と称するも妨げなき者甚だ多し。あるいはその鬼たり蛇たるの際にも、自ずか・・・<福沢諭吉「教育の事」青空文庫>
  11. ・・・いわんや近来は世上に政談流行して、物論はなはだ喧しき時節なるにおいてをや。人の子を教うるの学塾にして、かえって、これを傷うの憂いなきを期すべからず、云々と。 我が輩、この忠告の言を案ずるに、ある人の所見において、つまり政治経済学の有用な・・・<福沢諭吉「経世の学、また講究すべし」青空文庫>
  12. ・・・には、男女両性の間は肉交のみにあらず、別に情交の大切なるものあれば、両性の交際自由自在なるべき道理を陳べたるに、世上に反対論も少なくして鄙見の行われたるは、記者の喜ぶ所なれども、右の「婦人論」なり、また「交際論」なり、いずれも婦人の方を本に・・・<福沢諭吉「日本男子論」青空文庫>
  13. ・・・淋しいのは少しも苦にならないけれど、人が来ないので世上の様子がさっぱり分らないには困る。友だちは何として居るかしらッ。小つまは勤めて居るなら最う善いかげんの婆さんになったろう。みイちゃんは婚礼したかどうかしらッ。市区改正はどれだけ捗取ったか・・・<正岡子規「墓」青空文庫>
  14. ・・・されども初めて彼女と約する時、余はよく彼女の性質素行の如何なるものかを知り、彼女が世上に種々なる風評を伝へらるゝとも決して之を以て煩ひとなす事なく永く相信ずべきを以てせり。而して此度の事、事甚大にして既に疑惑を挾むべき余地なきが如きも、未だ・・・<宮本百合子「「或る女」についてのノート」青空文庫>
  15. ・・・ 文学としてはこれらの問題を含みつつも、火野の文章が世上に伝えた波動の大きさは正に、銃後の心理を思わせるものがあった。 同じ時に、上田広の「鮑慶郷」という小説が発表された。火野の文章と対比的に世評に上ったが、前者が生々しい戦場の記録・・・<宮本百合子「昭和の十四年間」青空文庫>
  16. ・・・ 確に、それは世上の大半を覆うている事実です。けれども亦、私の書き連ねた一面も、動かすことの出来ない実相です。私共が箇性的差異として、各自の国民性を持ちながらも、世界人として生活し始めた今日、世界各処に発生し、発達した種々な生活意識、様・・・<宮本百合子「男女交際より家庭生活へ」青空文庫>
  17. ・・・芸術家として自己を守り立てようと決心したからは、その力をレデュースし、そのロフティーネスを辱しめるような、あらゆる物は、仮令世上の如何な高貴であっても固辞しようと思ったのだ。 処が、暫く暮して見、自分は、種々な不自由さが、我心の裡に植え・・・<宮本百合子「小さき家の生活」青空文庫>
  18. ・・・けれども昨今、かなり屡々世上に伝えられる結婚生活の破綻と同時に起る種々な恋愛問題に対して、当事者から、周囲に到るまでのその決意決行、批判ある態度に於て、一指も指されないほど、厳かな絶対性を持っているだろうか。云うことを許されれば、自分はその・・・<宮本百合子「深く静に各自の路を見出せ」青空文庫>