た‐か〔‐クワ〕【多寡】例文一覧 13件

  1. ・・・「鶏卵と、玉子と、字にかくとおんなじというめくらだけれど、おさらいの看板ぐらいは形でわかりますからね、叱られやしないと多寡をくくって、ふらふらと入って来ましたがね。おさらいや、おおさえや、そんなものは三番叟だって、どこにも、やってやしま・・・<泉鏡花「開扉一妖帖」青空文庫>
  2. ・・・且文芸上の作品の価値は区々の秤尺に由て討議し、又選票の多寡に由て決すべきもので無いから、文芸審査の結果が意料外なるべきは初めから予察せられる。之を重視するのが誤まっておるのだが、二十五六年前には全然社会から無視せられていた文芸の存在を政府が・・・<内田魯庵「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」青空文庫>
  3. ・・・朝帰りの客を当て込んで味噌汁、煮豆、漬物、ご飯と都合四品で十八銭、細かい商売だと多寡をくくっていたところ、ビールなどをとる客もいて、結構商売になったから、少々眠さも我慢出来た。 秋めいて来て、やがて風が肌寒くなると、もう関東煮屋に「もっ・・・<織田作之助「夫婦善哉」青空文庫>
  4. ・・・約半年ばかりは、東京のことが気にかかり東京の様子や変遷を知り進歩に遅れまいと、これつとめるのであるが、そのうちに田舎の自分に直接関係のある生活に心をひかれ、自分自身の生活の中に這入りこんで、麦の収穫の多寡や、村税の負担の軽重に、喜んだり腹を・・・<黒島伝治「田舎から東京を見る」青空文庫>
  5. ・・・「いや、聟殿があれを二の無いものに大事にして居らるるは予て知ってもおるが、……多寡が一管の古物じゃまで。ハハハ、何でこのわし程のものの娘の生命にかかろう。帰って申せ、わしが詫びてやる、心配には及ばぬとナ。女は夫を持つと気が小さくなるとい・・・<幸田露伴「雪たたき」青空文庫>
  6. ・・・理なり俊雄は秋子に砂浴びせられたる一旦の拍子ぬけその砂肚に入ってたちまちやけの虫と化し前年より父が預かる株式会社に通い給金なり余禄なりなかなかの収入ありしもことごとくこのあたりの溝へ放棄り経綸と申すが多寡が糸扁いずれ天下は綱渡りのことまるま・・・<斎藤緑雨「かくれんぼ」青空文庫>
  7. ・・・私がこの三鷹に引越して来て、まだ四日しか経っていないのだから何も知るまいと、多寡をくくって出鱈目を言っているのに違いない。服装からしていい加減だ。よごれの無い印半纏に、藤色の伊達巻をきちんと締め、手拭いを姉さん被りにして、紺の手甲に紺の脚絆・・・<太宰治「善蔵を思う」青空文庫>
  8. ・・・財産の多寡で個人の価値を秤量するのが一つ。皮膚の色で人種の等級をきめようとするのが一つ。試験の成績やメンタルテストで人材登用のスケールをきめようとするのが一つ。経済関係の見地だけから社会制度を決定しようとするのもその一つであろう。 これ・・・<寺田寅彦「猿の顔」青空文庫>
  9. ・・・一度男にだまされて、それ以来自棄半分になっているのではないかと思われるところもあったが、然し祝儀の多寡によって手の裏返して世辞をいうような賤しいところは少しもなかったので、カッフェーの給仕女としてはまず品の好い方だと思われた。 以上の観・・・<永井荷風「申訳」青空文庫>
  10. ・・・よござんすからね、そのお金はお前さんの小遣いにしておおきなさい。多寡が私しなんぞのことですから、お前さんの相談相手にはなれますまいが、出来るだけのことはきッとしますよ。よござんすか。気を落さないようにして下さいよ。またお前さんの小遣いぐらい・・・<広津柳浪「今戸心中」青空文庫>
  11. ・・・たとえば、各地方に令して就学適齢の人員を調査し、就学者の多寡をかぞえ、人口と就学者との割合を比例し、または諸学校の地位・履歴、その資本の出処・保存の方法を具申せしめ、時としては吏人を地方に派出して諸件を監督せしむる等、すべて学校の管理に関す・・・<福沢諭吉「学問の独立」青空文庫>
  12. ・・・ 一所の小学校に、筆道師・句読師・算術師、各一人、助教の数は生徒の多寡にしたがって一様ならず、あるいは一人あり、あるいは三人あり。 学校、朝第八時に始り午後第四時に終る。科業は、いろは五十韻より用文章等の手習、九々の数、加減乗除、比・・・<福沢諭吉「京都学校の記」青空文庫>
  13. ・・・この場合、そのひとの程度ということはもちろん金銭の多寡や地位を意味しているのでないことは明かである。人間成長の内容をさしているのだが、友情についてもそれはいえることだろうと思う。ただ従来、そのひとの程度というとき、個人的な限度で、各人の天質・・・<宮本百合子「異性の間の友情」青空文庫>