て‐はじめ【手始め】例文一覧 8件

  1. ・・・まず、手始めに広告取次社から貰った芝居の切符をひそかにかくれてやったり、女の身で必要もない葉巻を無理にハンドバックの中へ入れてやったり、機嫌をとっていた。 それを察した相手が、安全なうちにと、暇をいただきたい旨言い出すと、お前は、「・・・<織田作之助「勧善懲悪」青空文庫>
  2. ・・・そして先ず自分の思いついた画題は水車、この水車はその以前鉛筆で書いたことがあるので、チョークの手始めに今一度これを写生してやろうと、堤を辿って上流の方へと、足を向けた。 水車は川向にあってその古めかしい処、木立の繁みに半ば被われている案・・・<国木田独歩「画の悲み」青空文庫>
  3. ・・・それの手始めには、例えば風呂場に一本の寒暖計を備えるのも一策である。そうしていろいろやってみて、考えてみてどうしても分らない疑問が起ったときに行きあたって、そこで適当な書物を読めば、その時に初めて書物の知識が本当の活きた知識になるのである。・・・<寺田寅彦「家庭の人へ」青空文庫>
  4. ・・・そうしてこれを手始めに『諸国咄』『桜陰比事』『胸算用』『織留』とだんだんに読んで行くうちに、その独自な特色と思われるものがいよいよ明らかになるような気がするのであった。それから引続いて『五人女』『一代女』『一代男』次に『武道伝来記』『武家義・・・<寺田寅彦「西鶴と科学」青空文庫>
  5. ・・・これが手始めでそれからは取るは取るは、少しの間に五羽、外に小胸黒を一羽取った。近頃このくらい面白かった事はない。「今晩鴫の御化けが来るぜ。」「来たら脇腹をつまんでやらあ。」<寺田寅彦「鴫つき」青空文庫>
  6. ・・・その手始めとして格好なものの一つは蓄音機であろう。 もしこの私の空想が到底実現される見込みがないという事にきまれば私は失望する。同時に人類は永遠に幸福の期待を捨てて再びよぎる事なき門をくぐる事になる。・・・<寺田寅彦「蓄音機」青空文庫>
  7. ・・・ 浮世風呂に浮世の垢を流し合うように、別世界は別世界相応の話柄の種も尽きぬものか、朋輩の悪評が手始めで、内所の後評、廓内の評判、検査場で見た他楼の花魁の美醜、検査医の男振りまで評し尽して、後連とさし代われば、さし代ッたなりに同じ話柄の種・・・<広津柳浪「今戸心中」青空文庫>
  8. ・・・そして、軈て来る冬の仕事の手始めとして、先ず柴山の選定に村人達が悩み始める頃迄続いていった。三 まだ夕暮には時があった。秋三は山から下ろして来た椚の柴を、出逢う人々に自慢した。 そして、家に着くと、戸口の処に身体の衰えた・・・<横光利一「南北」青空文庫>