いめ【夢】
「ゆめ」の上代語。「秋されば恋しみ妹(いも)を—にだに久しく見むを明けにけるかも」〈万・三七一四〉
うつし‐み【現し身】
現在生きている身。うつせみ。「こうして—の女の肉に引きずられる執念は」〈石川淳・普賢〉 [補説]江戸時代の国学者が上代語の「うつしおみ」また「うつそみ」「うつせみ」の原形を「現し身」と考えて作り...
うら‐わ【浦曲/浦廻】
《上代語で「み」とよむべき「廻」を旧訓で「わ」とよんだために生じた語》「うらみ(浦廻)」に同じ。「玉寄する—の風に空晴れて光をかはす秋の夜の月」〈千載・秋上〉
え
[終助]《上代語》文の終わりに付く。嘆息の心持ちを表す。…なあ。…よ。「上野(かみつけの)佐野の茎立(くくたち)折りはやし我(あれ)は待たむ—今年来ずとも」〈万・三四〇六〉
えま◦う【笑まふ/咲まふ】
[連語]《動詞「え(笑)む」の未然形+反復継続の助動詞「ふ」。上代語》 1 ほほえむ。「さ馴らへる鷹は無けむと心には思ひ誇りて—◦ひつつ」〈万・四〇一一〉 2 花が咲く。「梅柳常より殊に敷き栄え...
おや・じ【同じ】
[形シク]《上代語》形容詞「おなじ」に同じ。「橘(たちばな)は己が枝々生(な)れれども玉に貫(ぬ)く時—・じ緒に貫く」〈天智紀・歌謡〉
かくさ◦う【隠さふ】
[連語]《動詞「かく(隠)す」の未然形+反復継続の助動詞「ふ」。上代語》隠しつづける。繰り返し隠す。「沖つ藻を—◦ふ波の五百重波(いほへなみ)千重にしくしく恋ひわたるかも」〈万・二四三七〉
かくら◦う【隠らふ】
[連語]《動詞「かく(隠)る」(四段)の未然形+反復継続の助動詞「ふ」。上代語》隠れつづける。かくろう。「天の原ふりさけ見れば渡る日の影も—◦ひ」〈万・三一七〉
かく・る【隠る】
[動ラ四]《上代語。下二段活用よりも古い》隠れる。「山高み夕日—・りぬ浅茅原後見むために標(しめ)結はましを」〈万・一三四二〉
[動ラ下二]「かくれる」の文語形。
かて‐に
[連語]《補助動詞「かつ」(下二)の未然形+打消しの助動詞「ず」の連用形古形「に」。上代語》…に耐えられずに。…することができなくて。「赤駒が門出をしつつ出で—せしを見立てし家の児(こ)らはも」...