な‐せ【汝兄】
《上代語。本来「な」は一人称》女性が男性を親しんでよぶ語。あなた。いろせ。いろね。せ。「—の子やとりのをかぢし中だをれ我(あ)を音(ね)し泣くよ息(いく)づくまでに」〈万・三四五八〉
なだ・す【撫す】
[動サ四]《動詞「な(撫)ず」の未然形に尊敬の助動詞「す」がついたものの音変化。上代語》おなでになる。一説に、正(ただ)す意とも。「臣の子は栲の袴を七重をし庭に立たして足結(あよひ)—・すも」〈...
な‐な
[連語] 1 《上代東国方言》活用語の未然形に付く。…ないで。…ずに。「我が背なを筑紫へ遣(や)りて愛(うつく)しみ帯は解か—あやにかも寝も」〈万・四四二二〉 [補説]前の「な」は打消しの助動詞...
なびか◦う【靡かふ】
[連語]《動詞「なび(靡)く」の未然形+反復継続の助動詞「ふ」。上代語》なびき続ける。寄り添い続ける。「玉藻なすか寄りかく寄り—◦ひし妻の命(みこと)の」〈万・一九四〉
なも
[係助]《上代語》係助詞「なむ」の古形。多く助詞に付く。「何時(いつ)は—恋ひずありとはあらねどもうたてこのころ恋し繁しも」〈万・二八七七〉
[終助]《上代語》終助詞「なむ」の古形。動詞・動...
に‐て
[連語] 《完了の助動詞「ぬ」の連用形+接続助詞「て」。上代語》…てしまって。…てしまっていて。「老い—ある我(あ)が身の上に」〈万・八九七〉
《断定の助動詞「なり」の連用形+接続助詞「て」...
ぬ‐か
[連語]《打消しの助動詞「ず」の連体形+係助詞「か」。上代語》(多く「も…ぬか」の形で)詠嘆の気持ちをこめた願望の意を表す。…ないかなあ。…てほしい。「ひさかたの天の川津に舟浮けて君待つ夜らは明...
ぬか‐も
[連語]《連語「ぬか」+終助詞「も」。上代語》願望の意を表す。…くれないかなあ。…てほしいなあ。「ぬばたまの夜渡る月ははやも出で—」〈万・三六五一〉 [補説]「ぬか」よりも強い願望の意を表す。
ぬ‐かも
[連語]《打消しの助動詞「ず」の連体形+詠嘆の終助詞「かも」。上代語》詠嘆の意を表す。…ないなあ。…ないことだよ。「あをによし奈良の都にたなびける天の白雲見れど飽か—」〈万・三六〇二〉
ぬ‐がに
[連語]《完了の助動詞「ぬ」の終止形+接続助詞「がに」。上代語》…してしまいそうに。…してしまうばかりに。「我がやどの夕影草の白露の消(け)—もとな思ほゆるかも」〈万・五九四〉