へいぼん【平凡】
二葉亭四迷の小説。明治40年(1907)発表。もと文士の下級官吏が回想の形で、作者自身の人生観・文学観を示し、文壇を風刺した作品。
へいめん‐びょうしゃ【平面描写】
作者の主観をまじえず、対象や事件の経過の表面だけをありのままに描く文芸上の手法。明治40年代、田山花袋が主張。
べつり【別離】
若山牧水の第3歌集。明治43年(1910)刊行。歌壇で好評を博し、作者は注目の歌人となった。
ベーオウルフ【Beowulf】
英国最古の英雄叙事詩。8世紀以降の成立。勇士ベーオウルフの妖怪・火竜との戦いと死を頭韻形式でうたう。作者未詳。
ペトロニウス【Gaius Petronius】
[?〜66]古代ローマの作家。別名アルビテル(Arbiter)。ネロ帝に寵愛されたが、のちに陰謀の疑いで死を命じられた。断片が残る悪漢小説「サテュリコン」の作者とされる。
ほうげんものがたり【保元物語】
鎌倉時代の軍記物語。3巻。作者未詳。承久年間(1219〜1222)ごろまでに成立か。源為朝の活躍を中心に、保元の乱のいきさつを和漢混交文で描いたもの。
ほうしんえんぎ【封神演義】
中国、明代の小説。作者は諸説がある。妲己(だっき)に惑わされる暴君紂王(ちゅうおう)と、姜子牙(きょうしが)(太公望)を軍師に迎えた文王・武王の争いに仙人らが参加する。封神伝。封神榜(ぼう)。
ほうようかぞく【抱擁家族】
小島信夫の小説。ひとつの家庭が妻の不倫をきっかけに崩壊していく様子を描く。昭和40年(1965)発表。同年、第1回谷崎潤一郎賞受賞。昭和46年(1971)、作者自身の脚本にて舞台化。
ほそ‐み【細み】
蕉風俳諧の根本理念の一。作者の心が対象にかすかに深く入り込んでとらえる美、およびそれが繊細微妙に表現される句境。→寂(さび) →撓(しおり) →軽み
ほの‐めか・す【仄めかす】
[動サ五(四)] 1 それとなく言葉や態度に表して示す。におわせる。「不承知の意向を—・す」 2 もてはやす。「世になべて—・す作者を第一の人と申し侍らんや」〈ささめごと〉