せ‐な【夫な/兄な】
《「な」は接尾語》女性が、夫・恋人または兄弟など親しい男性をいう語。「ま遠くの野にも逢はなむ心なく里のみ中に逢へる—かも」〈万・三四六三〉
せ‐なあ【兄なあ】
《「せ(兄)な」の音変化》 1 田舎の若い男性。「女(あま)っ子—が屈竟の出合場処として」〈魯庵・社会百面相〉 2 兄。また、長兄。「小梅の—が柴の戸をたづねて」〈人・梅児誉美・三〉
せ‐の‐きみ【背の君/兄の君/夫の君】
「せ(兄)」の敬称。「流らふるつま吹く風の寒き夜に我が—はひとりか寝(ぬ)らむ」〈万・五九〉
せ‐やま【背山/兄山】
一対の山を男女・夫婦に見立てた場合、男性・夫にあたる山。→妹背山(いもせやま)
せ‐ろ【夫ろ/兄ろ】
「せこ(夫子)」の上代東国方言。「多由比潟潮満ち渡るいづゆかもかなしき—が我(わ)がり通はむ」〈万・三五四九〉
にい‐さま【兄様】
兄を敬っていう語。「にいさん」より改まった言い方。
にい‐さん【兄さん】
1 兄を敬っていう語。 2 若い男性を親しみをこめて呼ぶ語。「そこの—、落とし物だよ」
にい‐ちゃん【兄ちゃん】
1 兄を親しんで呼ぶ語。 2 若い男性を親しんで呼ぶ語。また、ぞんざいに呼ぶ語。
は‐や【甲矢/兄矢/早矢】
2本持って射る矢のうち、初めに射る矢。矢をつがえたとき、3枚羽根の羽表が外側になり裏が手前になる矢。→乙矢(おとや)