あこぎ【阿漕】
「阿漕ヶ浦」の略。 謡曲。四番目物。世阿弥作という。旅僧が、阿漕ヶ浦で密漁をして海に沈められた漁師の霊から懺悔(ざんげ)物語を聞く。
うとう【善知鳥】
謡曲。四番目物。喜多流では「烏頭」。善知鳥を殺した猟師の亡霊が旅僧の前に現れ、地獄で犬や鷹(たか)に責められる苦しみを訴える。
うねめ【采女】
謡曲。三番目物。作者未詳。世阿弥説もある。昔、猿沢池に身を投げた采女の霊が、旅僧に故事を語り、僧が回向(えこう)すると舞をまう。
えびら【箙】
謡曲。二番目物。世阿弥作。「箙の梅」の故事に基づく。生田川を通った旅僧に、梶原景季(かじわらかげすえ)の霊が修羅道の苦しみのさまを見せる。
おみなめし【女郎花】
謡曲。四番目物。旅僧が山城の男山の麓に来かかると、小野頼風夫婦の霊が現れ、邪淫の悪鬼に責められていることを語る。
かきつばた【杜若】
謡曲。三番目物。旅僧が三河の八橋(やつはし)に来ると、杜若の精が現れ、伊勢物語の話をし、在原業平(ありわらのなりひら)の歌の功徳(くどく)で成仏したことなどを語る。
かげつ【花月】
謡曲。四番目物。旅僧が清水(きよみず)寺で、花月という喝食(かっしき)になっているわが子に再会、花月は曲舞(くせまい)・羯鼓(かっこ)などの芸尽くしを見せる。
かに‐ぼうず【蟹坊主】
寺で住職や旅僧などに問答をしかけるというカニの化け物。昔話として各地に伝わる。化け蟹とも。
きゃく‐そう【客僧】
1 旅の僧。旅僧。かくそう。 2 他の寺に身を寄せている僧。また、法談などのため招かれた僧。かくそう。
こうやひじり【高野聖】
泉鏡花の小説。明治33年(1900)発表。飛騨の山中を舞台に、高野の旅僧と魔性の美女との出会いを、夢幻的に描く。