むかし‐いま【昔今】
昔と今。こんじゃく。「—の御物語に夜更け行く」〈源・朝顔〉
むかし‐え【昔方】
《「え」は方の意》過去の方。昔。いにしえ。むかしべ。「—や今も恋ひしきほととぎすふるさとにしも鳴きて来つらむ」〈古今・夏〉
むかしえ‐びと【昔方人】
「昔人(むかしびと)」に同じ。「ここに—の母、一日(ひとひ)、片時も忘れねば」〈土佐〉
むかし‐おとこ【昔男】
《伊勢物語の多くの段が「昔、男ありけり」で始まっているところから》在原業平(ありわらのなりひら)をさす。「その業平は、その時だにも—といはれし身の」〈謡・井筒〉
むかし‐おぼ・ゆ【昔覚ゆ】
[動ヤ下二]昔のようすがしのばれる。古風に思われる。「うちある調度も—・えて安らかなるこそ心にくしと見ゆれ」〈徒然・一〇〉
むかし‐がたり【昔語り】
「昔話(むかしばなし)1」に同じ。 [補説]作品名別項。→昔語り
むかし‐ざま【昔様】
昔のようす。昔のありさま。「—にても、かうまで遥けき野辺をわけ入り給へる心ざしなども」〈源・椎本〉
むかし‐ぞめ【昔染め】
ずっと以前に染めたもの。また、昔風の染め模様。「茜縁(あかねべり)の蚊屋(かや)、—のかづき」〈浮・五人女・二〉
むかしっ‐こ【昔っこ】
東北地方で、昔話のこと。
むかし‐づくり【昔作り】
1 古風な作り方。「殿の造り様、初めは古体の—なりしかば」〈栄花・浅緑〉 2 古風な気質。昔かたぎ。「余所(よそ)の親のやうに—で堅いばかりなれば」〈浮・禁短気・三〉