そでふる‐やま【袖振山】
奈良県の吉野山の勝手明神の裏山。天武天皇が吉野宮で琴を奏して「少女(をとめ)ども少女さびすと唐玉を袂に纏(ま)きて少女さびすも」〈琴歌譜〉と歌うと、雲中に天女が現れて舞を舞い、五度袖をひるがえし...
そのはら【園原】
長野県下伊那郡阿智村にある台地。[歌枕]「—や伏屋におふる帚木(ははきぎ)のありとは見えてあはぬ君かな」〈新古今・恋一〉
そめ‐かわ【染川/染河】
福岡県中部、太宰府天満宮の付近を流れる御笠川のこと。逢初川。思川。[歌枕]「—をわたらむ人のいかでかは色になるてふことのなからむ」〈伊勢・六一〉
たかし‐の‐はま【高師の浜】
大阪府高石市の大阪湾に面する海岸。かつて白砂青松の景勝地として知られた。高師の浦。[歌枕]「沖つ波—の浜松の名にこそ君を待ちわたりつれ」〈古今・雑上〉
たかまど‐やま【高円山】
《古くは「たかまとやま」》奈良市春日山の南に続く山。西麓に聖武天皇の離宮があった。[歌枕]「ますらをのさつ矢手(た)挟み立ち向かふ—に春野焼く」〈万・二三〇〉
たこ‐の‐うら【多祜の浦】
富山県氷見市の南にあった布勢の湖(うみ)の湖岸。現在の上田子・下田子や十二町潟のあたり。藤の名所として知られた。[歌枕]「—の底さへにほふ藤波をかざして行かむ見ぬ人のため」〈万・四二〇〇〉
たご‐の‐うら【田子ノ浦】
静岡県富士市南部の海岸。古くは富士川河口以西をさした。富士山眺望の名所や白砂青松(はくしゃせいしょう)の地として知られる。[歌枕]「—ゆうち出でて見ればま白にそ富士の高嶺に雪は降りける」〈万・三一八〉
ただす‐の‐もり【糺の森】
京都市左京区の賀茂御祖(かもみおや)神社内の森。賀茂川・高野川の合流点にある。和歌で「質(ただ)す」に掛けて用いられることが多い。[歌枕]「偽りを—のゆふだすきかけつつちかへ我をおもはば」〈新...
たつた‐がわ【竜田川/立田川】
奈良県北西部、生駒山地の東側を南流して大和川に注ぐ川。古くからの紅葉の名所。上流を生駒川という。[歌枕]「—もみぢば流る神なびのみむろの山に時雨(しぐれ)ふるらし」〈古今・秋下〉 《古今集・...
たなかみ【田上】
滋賀県大津市南部の地名。田上川は網代(あじろ)で氷魚(ひお)をとる名所。[歌枕]「—やせぜの早瀬に梁(やな)さして」〈曽丹集〉