あわづ【粟津】
滋賀県大津市南部の地名。古来、交通の要地。「逢わず」の意味を掛け、「粟津野」「粟津の原」などの形で歌に詠まれた。[歌枕]「関越えて—の森の会はずとも清水に見えし影を忘るな」〈後撰・恋四〉
いかがさき【伊加加崎/伊加賀崎】
滋賀県大津市石山寺付近の瀬田(せた)川沿いの地。[歌枕]「我はただ風にのみこそまかせたれ—には人の行くらむ」〈和泉式部続集〉 [補説]大阪府枚方市伊加賀の地ともいう。
いかほ【伊香保】
群馬県中部、渋川市の地名。旧町名。榛名山(はるなさん)中腹にあり、古くからの温泉町。また、古くは榛名山の称。[歌枕]「上野(かみつけの)—の嶺(ね)ろに降ろ雪(よき)の行き過ぎかてぬ妹が家のあた...
いかほ‐の‐ぬま【伊香保の沼】
榛名湖の古称。[歌枕]「まこも生ふる—のいかばかり波越えぬらん五月雨の頃」〈新後拾遺・夏〉
いき‐の‐まつばら【生の松原】
福岡市西区姪浜の海岸。白砂青松の景勝地。元寇防塁跡がある。神功皇后が新羅遠征の折に松を植えたという。和歌などでは「行き」「生き」にかけて用いる。[歌枕]「都へと—いきかへり君が千年(ちとせ)にあ...
いくた‐がわ【生田川】
神戸市を流れる川。摩耶(まや)山に源を発し、布引滝(ぬのびきのたき)となって神戸港に注ぐ。菟原処女(うないおとめ)が身を投げた妻争いの伝説で知られる。万葉集・一八〇九に詠まれ、大和物語にもみえる...
いくの【生野】
兵庫県朝来(あさご)市の地名。銀山があった。もと但馬(たじま)街道の宿場町。 京都府福知山市の地名。[歌枕]「大江山こえて—のすゑ遠み道ある代にもあひにけるかな」〈新古今・賀〉 大阪市東部...
いさ‐がわ【率川】
奈良市を流れていた川。春日山に源を発し佐保川に注いだ。現在は地下を流れる。能登川。[歌枕]「はね蘰(かづら)今する妹をうら若みいざ—の音のさやけさ」〈万・一一一二〉
いさや‐がわ【不知哉川】
滋賀県東部の霊仙(りょうぜん)山に発し、彦根市を流れて琵琶湖に注ぐ芹川(せりがわ)(大堀川)の古名。いさら川。[歌枕]「犬上の鳥籠(とこ)の山なる—いさとを聞こせ我が名告(の)らすな」〈万・二七一〇〉
いしやま【石山】
滋賀県大津市の地名。近江八景「石山の秋月」の地。石山寺があり、地名は境内の珪灰(けいかい)石の巨岩に由来。[歌枕]「都にも人や待つらむ—の峰に残れる秋の夜の月」〈新古今・雑上〉 大阪市中央区...