あし‐の‐や【葦の矢】
葦の茎で作った矢。朝廷で大晦日(おおみそか)の追儺(ついな)の式に、桃の木の弓につがえて鬼払いの具として用いた。
あだ‐や【徒矢】
的に命中しない矢。むだ矢。「射る矢は悉(ことごと)く—になって」〈漱石・硝子戸の中〉
あらい‐や【洗い矢】
銃腔(じゅうこう)内を掃除する金属棒。先端に刷毛(はけ)・布などがついている。
い‐し【遺矢】
《「矢」は屎(くそ)の意》大小便をもらすこと。
石(いし)に立(た)つ矢(や)
一念を込めてやれば、どんなことでもできることをいうたとえ。漢の李広が石を虎と見誤って矢を射たところ、矢が石に立ったという「史記」李広伝の故事による。
いし‐びや【石火矢/石火箭】
1 石または鉄・鉛などを飛ばして城攻めに用いた兵器。 2 近世初期に西洋から伝来した大砲のこと。「江戸屋勝二郎というては—でも崩れまい」〈浄・淀鯉〉
いち‐の‐や【一の矢】
手に持つ2本の矢のうち、最初に放つ矢。→二の矢
いっ‐し【一矢】
1本の矢。
うしろ‐や【後ろ矢】
敵に内通して味方の背後から矢を射かけること。また、その矢。裏切ることのたとえにも用いる。「—射て名を後代に失はんとは、えこそ申すまじけれ」〈太平記・三一〉
うわざし‐の‐や【上差の矢】
箙(えびら)などに差した矢のほかに、別形式の矢を1、2筋差し添えたもの。うわや。「この負ひたる胡簶(やなぐひ)の—を一筋」〈今昔・二七・四三〉