むね‐き【胸気】
[名・形動]他人の言動が気にさわること。また、そのさま。不愉快。「余り—な事を云われるとぐうっと癪に触って」〈魯庵・くれの廿八日〉
むね‐きゅん【胸きゅん】
[名・形動](スル)胸がきゅんとなる(する)ことをいう俗語。「初恋の—な思い出」→きゅんと
むね‐くそ【胸糞】
「むなくそ」に同じ。「そう云って葉子は—の悪いような顔付きをして見せた」〈有島・或る女〉
胸(むね)焦(こ)が・る
苦しみもだえて胸が熱くなるように感じる。「をりをり人やりならぬ—・るる夕べもあらむと」〈源・帚木〉
むね‐さんずん【胸三寸】
胸の中。また、心の中にある考え。
胸三寸(むねさんずん)に納(おさ)・める
心の中にしまい込んで、顔にも言葉にも出さないでいる。胸三寸に畳む。「何もかも—・めておく」
むね‐ざんよう【胸算用】
[名](スル)《「むねさんよう」とも》「むなざんよう」に同じ。
むね‐たたき【胸叩き】
江戸時代、歳末に手で裸の胸をたたきながら、祝言を述べて銭を乞(こ)い歩いた門付(かどづ)け。
胸(むね)潰(つぶ)らわ・し
悲しみや苦しみで胸がつぶれそうである。「いと—・しくおぼさる」〈源・賢木〉
胸(むね)に当(あ)た・る
思い当たる。心に強く感じる。「夜中に魑魅魍魎(ちみもうりょう)に魘(おそ)われたのも、思い出して、私は犇々(ひしひし)と—・った」〈鏡花・高野聖〉