いちじ‐りょうよう【一事両様】
1 一つの事を二通りに見たり、言ったりすること。二枚舌。「今はまたさういはぬとは、—なる事を」〈咄・醒睡笑・一〉 2 鎌倉幕府の訴訟上の用語。訴えの係属中に同じ訴人が同じ訴えを別に提起すること。...
いち‐じん【一陣】
1 風や雨がひとしきり激しく吹いたり降ったりすること。「—の風」「—の驟雨(しゅうう)」 2 陣立てで、いちばん前の隊列。先陣。先鋒(せんぽう)。「鎮西八郎為朝、—を承って固めたり」〈保元・中〉...
いちだい‐おとこ【一代男】
自分1代だけで跡継ぎのない男。「我等は—、家を継ぐべき躮(せがれ)はなし」〈浄・源頼家源実朝鎌倉三代記〉 「好色一代男」の略称。
いち‐な【一名/市名/都名】
琵琶法師などがつけた名。名前の最後に一・市・都などの字がつく。特に、鎌倉末期の如一(にょいち)を祖とする平曲の流派は一名をつけるので、一方(いちかた)流と呼ばれた。のち、広く一般の盲人も用いた。
いちぶ‐じとう【一分地頭】
鎌倉時代、地頭職の分割相続によって、その一部分を持つ地頭。半分地頭・三分二(さんぶに)地頭などともよばれた。子地頭。
いっ‐こう【一口】
1 一つの口。同じ口。また、一人の人。いっく。 2 刀剣や口のあいている器物の一つ。「蝋塗の晃(きら)めく—の短刀なり」〈紅葉・金色夜叉〉 3 同じように口をそろえて言うこと。「お家の柱をかぶり...
いっ‐そく【一足】
1 靴や足袋など、履き物の左右ひと組。→足(そく) 2 蹴鞠(けまり)で、1回鞠をけること。「鞠ヲ—ケル」〈日葡〉 3 わずかな足の動き。「—一刀ひるみなく、絶頂さして追ひ上ぐるは」〈浄・源頼家...
いっそく‐ぎり【一束切り】
髻(もとどり)をひと握りほどの長さに切った髪。「鎌倉中の軍勢どもが—とて髻を短くしけるは」〈太平記・一四〉
いっ‐ぺん【一偏】
[名・形動ナリ] 1 一方にかたよること。また、そのさま。「—の我執によりて朝恩をもかへり見ず」〈折たく柴の記・下〉 2 気持ちがある物事一つに向かうこと。いちずなさま。「—に思ひ切って鎌倉中に...
いなばどうえんぎ【因幡堂縁起】
鎌倉後期の絵巻。作者未詳。因幡の国司橘行平が夢のお告げで海中から引き上げた薬師如来像を本尊として因幡堂を創立した由来を描いたもの。