こもりく‐の【隠りくの】
[枕]《「く」は所》大和の泊瀬(はつせ)は山に囲まれた所の意から、「泊瀬」にかかる。「—泊瀬の川の上つ瀬に」〈万・三二六三〉
こもり‐ごえ【籠もり声】
こもってはっきりしない声。くぐもり声。ふくみ声。
こもり‐ず【隠り処/隠り所】
草木などに覆われて、他から見えない場所。また一説に、水草に覆われて見えない沼や沢。「—の沢たつみなる岩根ゆも通りて思ふ君に逢はまくは」〈万・二七九四〉
こもりず‐の【隠り処の】
[枕]隠れて見えない場所の意から、「下」にかかる。「—下よ延(は)へつつ行くは誰が夫(つま)」〈記・下・歌謡〉
こもり‐そう【籠もり僧】
1 山や寺などにこもり、一定の期間修行をする僧。 2 人の死後49日の間、喪屋にこもって仏事を修する僧。「わづかに—三、四人の勤めにて」〈太平記・三九〉
こもり‐づま【隠り妻】
人目を忍ぶ関係にある妻。かくしづま。「恋ひしくもしるくも逢へる—かも」〈万・三二六六〉
こもり‐ど【隠り処】
隠れて人目につきにくい所。「—の沢泉なる岩根をも通してそ思ふ我(あ)が恋ふらくは」〈万・二四四三〉
こもり‐どう【籠もり堂】
修行者や信者などがこもって祈願、修行する堂。
こもり‐ぬ【隠り沼】
草の茂みなどに覆われて外からは見えない沼。一説に、水の流れ出ない沼。「埴安(はにやす)の池の堤の—の行方を知らに舎人(とねり)は惑(まと)ふ」〈万・二〇一〉
こもりぬ‐の【隠り沼の】
[枕]隠れて見えない沼の意から、「下」にかかる。「—下に恋ふれば飽き足(だ)らず」〈万・二七一九〉