おい‐の・ける【追い退ける】
[動カ下一][文]おひの・く[カ下二]追って、そこからどかせる。追い払う。「暁の光は次第に四方(あたり)の闇を—・け」〈美妙・武蔵野〉
おいのこぶみ【笈の小文】
江戸中期の俳諧紀行。1冊。松尾芭蕉著。宝永6年(1709)刊。貞享4年(1687)10月に江戸を出立し、尾張・伊賀・伊勢・大和・紀伊を経て、須磨・明石を遊覧した時の紀行。卯辰(うたつ)紀行。芳野紀行。
おい‐の‐さか【老いの坂】
苦難に耐えながら年をとってゆくのを、坂道を上るのにたとえた語。
おい‐の‐さか【老ノ坂】
京都市と亀岡市との間にある峠。山陰道の京都への入り口。標高193メートル。老齢を重ねることに掛けても用いる。 [補説]「大枝(おい)の坂」とも書いた。
おい‐の‐つもり【老いの積もり】
年齢が重なって老いること。「—にや、悩ましくのみして、もの心細かりければ」〈源・関屋〉
おい‐の‐なみ【老いの波】
老齢になること。「年寄る」の「寄る」の縁で「波」を出し、また顔に寄るしわから波を連想した言い方。「—磯額(いそびたひ)にぞ寄りにける、哀れ恋しき若の浦かな」〈梁塵秘抄・四九〇〉
おい‐の‐はる【老いの春】
1 晩春と人の老齢とを掛けていう語。「花鳥になほあくがるる心かな—とも身をば思はで」〈風雅・雑上〉 2 老いて迎える新春。《季 新年》「それも応(おう)是(これ)もおうなり—/涼菟」〈一幅半〉
おい‐の‐ひがみみ【老いの僻耳】
年をとって耳が遠くなり、聞き誤りが多くなること。また、ひがんで悪く解釈すること。
おい‐のぼ・る【生ひ上る】
[動ラ四]草木などが生長して丈が高くなる。「しげき蓬(よもぎ)は、軒をあらそひて—・る」〈源・蓬生〉
おいのり‐ぶぎょう【御祈奉行】
鎌倉幕府・室町幕府の臨時の職。陰陽家や僧侶に、将軍家の疾病や怪異・天災などを払う祈祷(きとう)をさせた。祈奉行。