とん‐さい【頓才】
その場に応じてうまく働く知恵。機転をきかせる才。頓知の才。「彼等一流の奇智—を掉(ふる)って」〈里見弴・多情仏心〉
どす‐ごえ【どす声】
濁った太い声。どすのきいた声。「生得(うまれつき)の—で」〈里見弴・多情仏心〉
なずみ【泥み/滞み】
《動詞「なづむ」の連用形から》 1 なれ親しむこと。なじみ。「舌に—があるばかりでなく」〈里見弴・多情仏心〉 2 思い込むこと。執心すること。「ある西国の蔵屋敷衆、身も捨て給ふ程御—深かりき」〈...
なら‐ば
[連語]《動詞「な(成)る」の未然形+接続助詞「ば」》できることならば。それなら。「すっかり気おくれがして了って、—逃げだしたいのを」〈里見弴・多情仏心〉
ねび‐まさ・る【ねび勝る】
[動ラ五(四)] 1 年齢よりも大人びている。「黙ってお澄の真心に触れ温まっている、と云うような—・った心にもなれず」〈里見弴・多情仏心〉 2 成人するに従ってりっぱになる。「院もいと清らに—・...
ね‐わす・れる【寝忘れる】
[動ラ下一][文]ねわす・る[ラ下二] 1 眠りこんで物事をし忘れる。「必ず灯を消して寝るのである…。—・れたのであろう」〈紅葉・多情多恨〉 2 「寝過ごす」に同じ。「—・れた野寺の門や雉(きじ...
のぞ・ける【覗ける】
[動カ下一] 1 一部分が他から見られる。一部分が現れる。「太い首から—・けるあたりが真白に脂ぎっている」〈康成・雪国〉 2 一部分を外に出す。「横着にも—・けた顔を引っ込めもしずにいた」〈里見...
はま・る【塡まる/嵌まる】
[動ラ五(四)] 1 穴の部分にぴったりとはいる。うまくはいっておさまる。「栓が—・る」「ボタンが—・る」「型に—・る」 2 うまくあてはまる。「条件に—・る」「役に—・る」 3 くぼんだ場所な...
はん‐じょう【煩擾】
わずらわしいほど乱れること。ごたごたと乱れること。「胸底の—をじっと押しこらえているにしては」〈里見弴・多情仏心〉
はん‐ドン【半ドン】
《ドンは「ドンタク」の略》勤務が午前中だけであること。また、その日。「今日は—でございますから」〈紅葉・多情多恨〉