なき‐こと【無き事】
[連語]ありもしないこと。身に覚えのないこと。無実。「—によりかく罪せられ給ふを」〈大鏡・時平〉
無(な)き手(て)を出(いだ)・す
1 この上もない秘術を尽くす。「仲頼の主(ぬし)、なき手出(いだ)して遊ぶ」〈宇津保・嵯峨院〉 2 ありとあらゆる手段をめぐらす。「いかでこの人のためにはと、—・し」〈源・帚木〉
なき‐な【無き名】
[連語]身に覚えのないうわさ。ぬれぎぬ。「—ぞと人には言ひてありぬべし心の問はばいかが答へむ」〈後撰・恋三〉
無(な)きにしも非(あら)ず
ないわけではない。ないとは限らない。少しはある。「勝利の可能性は—だ」
無(な)きにな・す
ないものとする。数のうちに入れず、顧みない。「わが身を—・しても」〈源・賢木〉
なき‐もの【亡き者/無き者】
[連語]死んでこの世にいない者。死者。死人。「—となる」
なき‐よ【無き世】
[連語]死んだあとの世。死後。「—を思ひの数々に」〈謡・小督〉
なきよ‐がたり【無き世語り】
死後のうわさ話。死後の評判。「—も恥づかしとて」〈謡・実盛〉