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・・・ 自身の社会の建設と発展の為に生きること、その道の上に生じる闘いと、憩いと、憤り、悲しみ、喜び、一切の事象と情熱とは、とりも直さず生きてゆく必然の政治そのものからの照りかえしであり、人民の胸に燃える表現の欲望は、それらを自ずから物語るこ・・・
宮本百合子
「新世界の富」
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・・・小布施という村にて、しばし憩いぬ。このわたりの野に、鴨頭草のみおい出でて、目の及ぶかぎり碧きところあり、又秋萩の繁りたる処あり。麻畑の傍を過ぐ、半ば刈りたり。信濃川にいでて見るに船橋断えたり。小舟にてわたる。豊野より汽車に乗りて、軽井沢にゆ・・・
森鴎外
「みちの記」