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・・・ 先年、初夏の頃、水郷を旅行して、船で潮来から香取に着き、雨中、佐原まで来る途中、早くも掛茶屋の店頭に、まくわ瓜の並べてあるのをみて、これを、なつかしく思い、立寄って、たべたことがありました。 燕温泉に行った時、ルビーのような、・・・
小川未明
「果物の幻想」
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・・・しかしあの中にかいた温泉なんかはあったし、赤手拭をさげてあるいたことも事実だ。もう一つ困るのは、松山中学にあの小説の中の山嵐という綽名の教師と、寸分も違わぬのがいるというので、漱石はあの男のことをかいたんだといわれてるのだ。決してそんなつも・・・
夏目漱石
「僕の昔」