・・・ 九月七日 一週間とんでしまいました。あなたは二十九日には手紙を書いて下さいませんでしたか? 日曜日には大変待っていたのだが。――私は今病気なの、珍しく。変に黒い突出たような眼玉をして。三十一日の朝起きるのが苦しかった。無理をして約・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ ところが、このプロレタリア文学の側から見れば文芸における階級性の問題を時の勢に乗じて一蹴したと見られる文芸復興の呼び声は、はからずブルジョア文学の上にも深い共鳴と動揺とを起す結果となった。ブルジョア作家が自身の行づまりを感じ、創作力の・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・ 五年生になってから、私共は教育心理学を教わることになった。そして、先生の人格的の影響は、愈々大きく成った。 一週二時間の教育の時間を、私は如何那に待ち、楽しんだろう。私にとって学問らしい学問は、千葉先生の時間ほかなかった。僅か一時・・・ 宮本百合子 「弟子の心」
・・・ 一生懸命で経済学原理、万国貨幣制度、憲法などを研究しました。 学校を卒業すると、彼女は希望通りミスタ・シムコックスと云う人の秘書役として、事務所に通うことになりました。 一週二十五志の月給で、ちゃんと一人前に出勤し、自分の力で・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・はじめは楽観から赤の理窟と一蹴して、国賊排撃に共感していた人々も、おいおい様子があやしくなって本能的な不安に襲われはじめた。ファシスト権力の狂奔はその時期に入って白熱した。人々の不安を国家存亡の危機という表現に結集させた。ひとことも、軍事的・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・ 肝臓のために一週二度ずつ沐浴が出来る。何と楽しい課目! 生れて始めて凹んですき間の出来た股を 湯のなかで自分は愛撫した。 壁際の黒皮ばり長椅子に二十歳のターニャが脚をひろげてかけて居る。白い上被りの中で彼女は若々しい赧ら顔と金・・・ 宮本百合子 「無題(七)」
・・・――日曜日の午後ハイド・パアクはハイド・パアクの附近に住みながら一週に一遍だけそこを散歩出来る連中――事務員。料理女。いろいろな家庭雇人の洪水である。 小みちも草原も人だ。人だ。 自然と人間の割合がこんなに逆になる日曜日彼らの主人達・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫