・・・恥かしい気もうじうじする気も私の心の隅にはちょんびりも生れて来なかった。 御供をし又それを静かに引いて柩は再び皆の手に抱かれて馬車にのせられ淋しい砂利路を妹の弟と身内の誰彼の眠って居る家の墓地につれられた。 赤子のままでこの世を去っ・・・ 宮本百合子 「悲しめる心」
・・・ けれ共、驚きのために低い叫びをあげて私の居た裏口の方へかけて来、少しの間うじうじした後、すぐ間近に居た私の足に、土を飛ばせながら畑地を彼方にこいで行って仕舞った。 なげ出された木の根っこは、ふてた娘の様にフウフウとはげしい煙に、あ・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・ 少年は、その人前でもちっとも恥しがったりうじうじしないで、確かりと、白耳義の孤児を自分達が助けて上げなければならないと云う事を話しているのでした。 勿論此は、其の少年一人の仕事ではないのです、日本のように欧州から遠く離れて、今度の・・・ 宮本百合子 「私の見た米国の少年」
出典:青空文庫