-
・・・あの菅公の宇多上皇に対する恩顧の思い出はそれを示して余りあり、理想の愛人に合うことの悦びはいまさらいうまでもなく花は一時に開き鳥は歌うのである。青春未婚の男女であってこの幸福を求めて胸を躍らせない者はないであろう。またそれは与えられるのが常・・・
倉田百三
「人生における離合について」
-
・・・同さゝれ蟹足はひ上る清水かな 同荒海や佐渡に横ふ天の川 同猪も共に吹かるゝ野分かな 同鞍壺に小坊主乗るや大根引 同塩鯛の歯茎も寒し魚の店 同等二十句を出でざらん。宇陀の法師に芭蕉の説なりとて掲げたるを見・・・
正岡子規
「俳人蕪村」