・・・「はい。」「お迎に参りました。」 駭然として、「私を。」「内方でおっしゃいます。」「お召ものの飾から、光の射すお方を見たら、お連れ申して参りますように、お使でございます。」と交る交るいって、向合って、いたいたけに袖を・・・ 泉鏡花 「伊勢之巻」
・・・ そして、班長のサル又や襦袢の洗濯をさせられたり、銃の使い方や、機関銃や、野砲の撃ち方を習う。毎朝点呼から消燈時間まで、勤務や演習や教練で休むひまがない。物を考えるひまがない。工場や、農村に残っている同志や親爺には、工場主の賃銀の値下げ・・・ 黒島伝治 「入営する青年たちは何をなすべきか」
・・・そして、次の襲撃方法の参考とした。 中隊長は、それをチャンと知っていた。しかし、パルチザンと百姓とは、同じ服装をしていれば、見分けがつかなかった。「逃げて行くパルチザンなんど、面倒くさい、大砲でぶっ殺してしまえやいいじゃないか。」・・・ 黒島伝治 「パルチザン・ウォルコフ」
出典:青空文庫