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・・・その各自の熱情に従って、その美しき叡智と純情とに従って、もしも其爆発力の表現手段が分裂したとしたならば、それは明日の文学の祝福すべき一大文運であらねばならぬ。そうして、明日の文学は分裂するであろう。大いなる酒神は、かの愚な時計の振り子の如く・・・
横光利一
「黙示のページ」
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・・・それを機縁として私のファウストが真の叡智を得て行くのである。……メフィストを跳梁させてはいけない。しかしメフィストのゆえに苦しむのはよいことだ。メフィストがあまりに早く離れ去らなかったことは、喜ばなくてはいけないだろう。メフィストのいること・・・
和辻哲郎
「転向」