・・・まことに詩人シラーのいいしがごとく、天然には永久の希望あり、壊敗はこれをただ人のあいだにおいてのみ見るのであります。 まず溝を穿ちて水を注ぎ、ヒースと称する荒野の植物を駆逐し、これに代うるに馬鈴薯ならびに牧草をもってするのであります。こ・・・ 内村鑑三 「デンマルク国の話」
・・・私はある時郷国の小学校に就て其の内幕をみるの機会を得たのであるが、其の風儀の壊廃は実に驚くに堪えたるものであった。それは矢張り政党等の内幕にあるような実情問題であった。何れの社会でも今日の状態ではきたない事はある。それが小学校に於て児童の事・・・ 小川未明 「人間性の深奥に立って」
・・・夫婦、親子の情を、壊廃するものは何ものでもない。みなこの貧乏あるがためであります。 私は、最も逆境時代に生れた、二人の子供を亡くしました。若し、健康でいたならば二人は、いかにこの世の中が苦しいところであろうとも、また幾多生を享楽すべきこ・・・ 小川未明 「貧乏線に終始して」
出典:青空文庫