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・・・幽門の潰瘍風のものであったと見え、まさ子は殆ど医者にかからず、忍耐と天然の力をたのみに癒した。自分の体は自分が一番よく知っている、そのように今度も云った。 十時過、なほ子は耕一の仕事場にしている離れに行った。襯衣一枚になって、亢奮が顔に・・・
宮本百合子
「白い蚊帳」
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・・・ ロシアの艦隊が、その実質にはツァーの政府の腐敗を反映して、どんなものであったかということは、ソヴェトの海洋文学の作者ノヴィコフ・プリボーイの近作「ツシマ」が、私達に雄弁な描写を与えている。 アドミラル・トーゴーの勇名が世界に轟いた・・・
宮本百合子
「花のたより」