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・・・アガアテはいつでもわたくしの所へ参ると、にっこり笑って、尼の被物に極まっている、白い帽子を着ていまして、わたくしの寝床に腰を掛けるのでございます。わたくしが妹の手を取って遣りますと、その手に障る心持は、丁度薔薇の花の弁に障るようでございます・・・ 著:リルケライネル・マリア 訳:森鴎外 「白」
・・・そして生の渦巻の内から一道の光明を我々に投げ掛ける。 ストリンドベルヒに至っては、その深さと鋭さにおいて――簡素と充実とにおいて近代に比肩し得るものがない。また心理と自然と社会との観察者としても、ロシアの巨人の塁を摩する。彼もまた「人間・・・ 和辻哲郎 「生きること作ること」
・・・よい具合だと思って速力を増して駈ける。五六間手前まで行くと電車は動き初めた。しまッたと思いながらなお懸命に追い駈けて行く。電車はだんだん早くなる。それを見てとても乗れまいという気がしたので、私はふと立ち留まった。その瞬間にあれに乗らなければ・・・ 和辻哲郎 「停車場で感じたこと」
出典:青空文庫