・・・社会的活動への婦人の進出はめざましいし、その必要の意味も、個人的に社会的に加重されてきているのであるけれども、その一つの事実がとりもなおさず婦人としての生活条件を全般的に向上させているかといえば、そうであるという回答は得られまい。女としての・・・ 宮本百合子 「異性の間の友情」
・・・となった山間のK部落の自作農らが、更に戦争の軍事費負担を加重される。軍部がその部落に二百円の強制献金を割り当てた。自作農らはついに共同墓地の松の木を伐ってそれを出すことに決議したが、昭和二年の鉱山閉鎖以来共同植付苅入れをしている「やま連」と・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 農民作家たちは、いつの間にか、こういう細々した農村生活の外部的、或は内面の特別性を、固定したものとして扱い、過重評価しはじめた。「ロシアの土」の偉大さを、社会主義社会建設のために、階級的方向にどう利用して行くべきかを作品の中で指示・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・一九四〇年以後の日本のすべての炭坑には婦人が入坑し、過重な労役に服してきました。若い勤労婦人は最も危険・有害なあらゆる生産部門においてさえ活動しました。 しかも、日本の軍事的権力によって特別な保護をうけていた企業家たちは、生産の大半を婦・・・ 宮本百合子 「国際民婦連へのメッセージ」
・・・『科学者と詩人』とは訳者の調子がわざわいしてやや甘たるいところが過重せられていると信じるが面白うございます。序論を一二頁よんだだけであるけれども。この次この人の『科学と仮説』を入れましょう。こちらの訳をしたひとは平林氏ではないから文体も・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・中間小説の作家が、その作品を希望しているような社会的な内容をもつ小説としてゆくためには、不自然なほど過重に性の興味をもりこんだ世相反映の創作方法とはちがった現実観察の角度と創作方法をもたなければならない。それは、どうして発見されるだろうか。・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 日本でジイドは、実に驚くべき過重評価をうけたのであるが、且て二十年近い昔、「狭き門」「背徳者」などが翻訳出版された時文学愛好者がアンドレ・ジイドなる名に払った注意は決して甚大なものではなかった。ジイドの日本における奇妙な繁栄は、丁度四・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・ 消極の極で暮して来た、否暮させられて来た、日本婦人に対して、生きて弾む生命を持って居るこちらの婦人の価値は、種々な形成に於て或時は余りに過重され、又或時には余りに価値以下に観られて居ると思います。其がどちらの場合に於ても、ロング、エス・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・最後の一、二ページで、作者は、亮子にほとんど過重な内的容積をもり込んでいるのであるが、「近頃どんな映画を見ても演出を見ても『なんだここが見せ場か』『ここが山か』と案外その見せ場や山が大したものでないのにガッカリしている」だが「こんなことは何・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
・・・ 只でさえ女の先生を見る周囲の目は、そこに女の鑑を見ようとする傾きがつよいが、勇士の妻という事を、女先生の責任感に加重して負わせ過ぎないだけの親切な同情が必要であろう。 豆双葉の死 豆双葉金一君が、はるばる・・・ 宮本百合子 「女性週評」
出典:青空文庫