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・・・た信頼をつながれている人だそうだが、恐らくその小説の中で同様の事件があったのなら、何かの形で正義と人間愛の演説をされる機会を持たれただろうが、現実に自分の足の下の暑苦しい船室の中で起ったことに対しては片言もふれていなかった。 船の関係の・・・
宮本百合子
「龍田丸の中毒事件」
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・・・素人の文学が、片言風の面白さだの、単にその経験の素材の珍しさだのでだけ評価されなければならないほど、日本の文学は窮乏していないであろう。 文学の側から素人の文学と云い得るものの最もすぐれた美しさの典型の一つとして、私たちの心は科学に従事・・・
宮本百合子
「文学のひろがり」