・・・ 近代的な社会要素と封建の要素とが最もいり組んだ関係で絡みあっているのが、日本の働く女性たちの境遇である。 これまでは一日きまった時間だけ働くと、あとはちりぢりに帰って、自分の趣味は自分だけでみたし、お稽古にも一人で通っていたような・・・ 宮本百合子 「働く婦人の歌声」
・・・卓抜な洞察力にかかわらず自身の世界観のうちに全く同時代的な矛盾をもっていたテエヌが、社会関係においては受動的に現象羅列的にバルザックを説明することは出来ても、絡みあってバルザックそのものを成している諸矛盾とその社会的根源までを解きほごし、発・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・それらの作品には、彼女の生活環境と彼女自身のうちにある根深い封建的なものが、反抗と解放への激情と絡みあって、生のまま烈しく噴出している。暗く、重く、うごめく姿があるけれども、そこには、「人間は断じて自滅すべきものではない」という彼女の人民的・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
出典:青空文庫