・・・『国のあゆみ』『民主主義』読本に対する監視と批判は、決して新学期に際してだけの季節的行事であってはならないと思います。今日二・二六の事件を戦争を欲しなかった青年将校の行動であるとか、農民大衆の窮乏にふるいたった青年将校たちの行動であるとかい・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ もう少しゆっくりおっしゃって下さい。と云う。 主人が旅行中で十四日後でなければと云う。 それでよいから、次手に、マンドリンの第一の絃を二本持って来て下さいと云ってやる。 楽器屋や本屋の取次が、はきはきして居ないのはほん・・・ 宮本百合子 「一日」
・・・ その委員たちが、みんなといろいろ相談し、学校の湯呑場、手洗場が清潔かどうかということから、先学期は、どの課目が級全体としておくれたから、今学期はそれをどうとりかえしてゆくかということまで、先生と相談してやって行く。「子供の家」もも・・・ 宮本百合子 「従妹への手紙」
・・・或る晩、九つの私は父につれられて本郷の切通しだったか坂の中途にある薄暗いその楽器屋へピアノを見に行った。いく台も並んである間にはさまって、その黒いピアノは大したものにも見えなかったので何となしぼーとしてかえって来た。ところが何日か経って、天・・・ 宮本百合子 「親子一体の教育法」
・・・ 日本女子大学の英文科予科に一学期ほどいたことがある。ここの学校でも心に刻まれているのは、構内の雑木林である。網野菊、丹野禎子という友達たちと、そこで喋った雑木林が忘られない。学校そのもの、女学生そのものについて、いい感じはなかった・・・ 宮本百合子 「女の学校」
・・・う部分の人々にはどういう感じをおこさせるかしらないが、都会の人口の大多数を占める下級中級の若いサラリーマン、勤労青年たちが、いささかの慰みとしてアパートの部屋でかけて聴いている蓄音器、レコードその他の楽器に新しく税がかかったり、写真機に税が・・・ 宮本百合子 「カメラの焦点」
・・・ 二番目の弟は学期試験で、一人早く起き出し、食事をする部屋のテーブルの電燈の下でノートを読んでいた。すると、正面に当る廊下の両開きになっている扉の片方が細めにすーと開いて、そこから誰かの眼が内をのぞいた。弟は、書生さんが起しに来てくれた・・・ 宮本百合子 「からたち」
・・・例えば第一学期は「春? 各学課が重箱式に、機械的に分けられ、つみ重ねられていない。一つの題目は次の一つの題目へとかたく生活的な結びつきでのびて行くから、実際生活にすぐ役立つ勉強法だ。子供の頭は、すぐ手元の日常生活を基礎にそれを解剖し、批・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ 女学校がすんで、目白の日本女子大の英文科の予科に一学期ほどいて、やめた後だったと思う。千葉先生と河崎なつ先生とが、桑田芳蔵博士の教室で心理学の勉強をされたとき私を仲間に加えて下すったことがあった。ヴントの本で、一寸した実験もやったりし・・・ 宮本百合子 「時代と人々」
・・・ われわれの小学校は大体背丈の順で並んだが、ソヴェト同盟の小学校では、一つ机を二人でつかう時には、学期のはじめ教師が自由に一緒に坐る対手をきめさせる。「ミーシャ、また一緒に坐ろうね」「ウン」 だが、教師オリガは、先学期もミー・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
出典:青空文庫