・・・ バルザックの文体を含味する余裕、その諸要素を理解し分析する力の積極性においては、同時代人の中でも、後に自然主義文学に基礎を与えたテエヌが流石に立ちまさった見解を示している。サント・ブウヴは、バルザックが「従妹ベット」の中のパンセラスに・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・の面をも十分に自ら含味されなければならないでしょう。 新協の俳優が、他のどの劇団にもない歴史的な立場と任務とを持っていることは明らかであり、その自覚から各人が人及び芸術家として、日本の過去の如何なる名優も持たなかった希望と誇りとを持つこ・・・ 宮本百合子 「一つの感想」
・・・勢い、作品は、個々の作家の間に僅かずつながらにしろあるのが当然であるニュアンスの相異などを、強調したその点において翫味されなければならない。そこに独創も試みられる結果となり、作品はますます末梢的になったり、非現実性を加えたりすると思われる。・・・ 宮本百合子 「文学における古いもの・新しいもの」
・・・この数言に何と含味すべき豊富な歴史性が包含されていることであろう。〔一九三七年八月〕 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
出典:青空文庫