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・・・「この盾何の奇特かあると巨人に問えば曰く。盾に願え、願うて聴かれざるなし只その身を亡ぼす事あり。人に語るな語るとき盾の霊去る。……汝盾を執って戦に臨めば四囲の鬼神汝を呪うことあり。呪われて後蓋天蓋地の大歓喜に逢うべし。只盾を伝え受くるものに・・・
夏目漱石
「幻影の盾」
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・・・用番老中水野越前守忠邦の沙汰で、九郎右衛門、りよは「奇特之儀に付構なし」文吉は「仔細無之構なし」と申し渡された。それから筒井の褒詞を受けて酉の下刻に引き取った。 続いて酒井家の大目附から、町奉行の糺明が済んだから、「平常通心得べし」と、・・・
森鴎外
「護持院原の敵討」