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・・・文学・思想の問題をはさんで行われる権力と人間性の係争では、権力がつねに勝利において敗北して来た。だからこそ、伊藤整が信念をもって述べているとおり、人類の進歩がなりたって来たのだった。 これらの人間として当然な理性の主張は、「外界と人間の・・・
宮本百合子
「人間性・政治・文学(1)」
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・・・ 心臓の鼓動は微かながら続いているから、生きてはいるのだが、見るも恐ろしいような形相をして絶息している。 もう一刻の猶予もされない。 水を吐かせ、暖め摩擦し、そのときそこで出来るだけの手当がほどこされたのである。 ここいらの・・・
宮本百合子
「禰宜様宮田」