・・・ 湯川秀樹博士がノーベル賞を受けた日、「わたしは原子爆弾をつくれないし、そういう興味をもっていない」と語った言葉は、世界のまじめな人たちの心に響いた。 南原東大総長がワシントンの会議で、「民族とその文化の独立のためには、世界平和が確・・・ 宮本百合子 「しようがない、だろうか?」
日本の新聞はアメリカの良心的な市民が読んだら怒るだろうほどおく面ない調子で、アメリカに原子爆弾よりも殺リク力を持った、放射線の雲を作ることが発明されたと報じています。建物を破壊しないで人間はセン滅するから原子爆弾よりも有効・・・ 宮本百合子 「世界は平和を欲す」
・・・ヒロシマ、ナガサキの経験を持つ日本の人々は何一つ罪ない人民をみな殺しにした原子兵器が世界のどこでもまたと使用されることがないようにストックホルムのアッピールへは数百万の人々が署名した。五億を越した署名の数のうち資本主義の国としては世界第三位・・・ 宮本百合子 「世界は求めている、平和を!」
・・・十数億の人々が平和のために立っている。原子兵器を禁止し、それを最初に使用した権力を、人類に対する戦犯とすべきであるというストックホルムの平和大会アッピールは最近、益々そのアッピールの切実さが証明されつつある。日本でさえ六百万に近い署名をあつ・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
1、文筆の仕事の上で、可能なかぎり、戦争反対と平和の確保、原子兵器禁止の態度を明かにして居ります。平和を守る会、知識人の会、民主主義擁護同盟に参加して居ります。科学者たちが、適切な共同声明を発表しているのに、文学者は、なぜそ・・・ 宮本百合子 「戦争・平和・曲学阿世」
昨年のことであったか、それとも一昨年になるか、わたしはある婦人雑誌で思いがけない柳原子さんの文章をよんだ。そして深く心にきざみつけられた。その文章で、わたしははじめてさんが愛息香織さんに戦死されたことを知り、母としての子さ・・・ 宮本百合子 「その願いを現実に」
・・・第二次大戦では、毒ガスの使用その他細菌戦を行わないことが申しあわされたが、思いがけない原子爆弾が出現した。それから原子兵器は、現世紀の悪夢となった。国際政治に対して、あらゆる国の人民が重大な関心をむけ、原子兵器使用禁止のために集団的に発言し・・・ 宮本百合子 「「人間関係方面の成果」」
・・・ストックホルムで開かれた世界平和擁護大会が、原子兵器禁止の決議を行い、ヒロシマとナガサキの恐ろしい経験をもっている日本の人民が、このアッピールの先頭にたつだろうと期待しているのは当然です。戦争は宿命ではありません。人間がおこすものです――し・・・ 宮本百合子 「願いは一つにまとめて」
・・・ 町にで、記念のために買った本や、メキシカンの手製の元始的な壺などを並べた中で、する生活。 机によって、彼が、カーキの粗い素朴なシャーツの広い肩を丸めながら物をよんで居るのを見る心持、其は私が且つて弟の後姿のいつの間にか青年に成・・・ 宮本百合子 「無題(二)」
・・・と感じて、その感じには物でも憑いているのではないかという迷信さえ加わったので、孝女に対する同情は薄かったが、当時の行政司法の、元始的な機関が自然に活動して、いちの願意は期せずして貫徹した。桂屋太郎兵衛の刑の執行は、「江戸へ伺中日延」というこ・・・ 森鴎外 「最後の一句」
出典:青空文庫