・・・ソヴェトの裁判が公開であるということ、監獄が、後れた労働者をよい労働者に仕上げて出すためのところと考えられているということ、獄衣などないこと等、こまかく一つ一つ日本の有様とひき比べての演説は実に聞いていて飽きません。たとえば共産党の公判が、・・・ 宮本百合子 「共産党公判を傍聴して」
・・・ところが技術の進歩につれ、だんだん公開の演奏会へも出られるようになり、夫人の仕事はいつしか邸内の音楽室から公会堂へまでうつり、よりひろい社会関係の間に露出されて来ています。 また、先頃フィリッピンのバシラン島附近で高麗鶯の新種を発見して・・・ 宮本百合子 「現実の道」
・・・少年らのグループが作家の団体へ、あなた方の文学上の才能を、未来の担い手であるわれわれのためにもっと十分発揮してくれ、という公開状をよせたりして、この問題は活溌な注目の下にあった。この場合は、もちろん、昔の化物話や泥棒などではない、新しい社会・・・ 宮本百合子 「子供のために書く母たち」
・・・彼等はラジウム精錬の特許を独占して驚くべき富豪になる代りに、人類へその科学上の発見を公開して、キュリー夫人は五十歳を越してもソルボンヌ大学教授としての収入だけで生活して行った。キュリー夫妻の人間としての歴史的な価値は、その十五分ほどの間の判・・・ 宮本百合子 「これから結婚する人の心持」
・・・従って、ジイドが利用しようと努めているような統計や自己批判の公開もしないわけである。ところがそれがなされている。ジイド自身が描き出しているこの矛盾は、おのずからジイドによって描かれているとは異った現実のあることを読者に感じさせるのである。ジ・・・ 宮本百合子 「こわれた鏡」
・・・美術学校に公開の美術図書館があり、帝大に医学、文学等の公開図書館があるという工合でも、一般の蒙る便宜は随分多いだろうと思う。旧大名の華族たちが、只虫干をするだけで蔵にしまっている古文書類ももっと天下に役立てられなければならないし、特殊な生産・・・ 宮本百合子 「実際に役立つ国民の書棚として図書館の改良」
・・・ジャーナリストの眼には、ちらちら横に動くはやさのほかに、遠くのものを見とおせる航海者の視力と、ローリング・ピッチングにたえる脚の力がもとめられて来た。〔一九四九年十月〕 宮本百合子 「ジャーナリズムの航路」
・・・今日、大多数の若い人々が、男女にかかわらずそれぞれの恋愛について、私的なことであるが又公的なことでもあるとする一つの公開的態度をもって対する根本には、上述のように、恋愛の含む広い複雑な社会性の意識がいつとなく作用しているからである。 若・・・ 宮本百合子 「成長意慾としての恋愛」
・・・という雑誌の九月号に「小林秀雄氏へ」という公開状を書いた小原元という人は、『新日本文学』に試作を発表した三人のかたよりは、ずっと既成文学のいきさつに通じ、その語彙をうけついでいますが、やっぱり一つの新しい力、新しい存在感の上に立っている方の・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・っていう優秀映画館で公開された時は素敵だった。伴奏は特別作曲された音楽だったし。 帝国主義と植民地とがどういう関係におかれているかということの真実が堂々としたプドフキンの芸術的手腕で把握されていた。 ところがね、面白いことには、・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
出典:青空文庫