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・・・いずれが孝子であるか、今の社会にはわからぬ。親の酒代のために節操を棄て霊を離るる女が孝子であるならば吾人はむしろ「孝」を呪う。 八犬伝は「浜路が信乃のもとへ忍ぶ」個所などを除く時、トルストイの芸術観に適合する作物となるそうである。現代徳・・・
和辻哲郎
「霊的本能主義」
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・・・成瀬氏は大学卒業後まだ間のないころであったが、すでにドイツ文学の講師となっており、同僚の立場から先生を見ることができたのである。氏によると、先生は非常にきちょうめんで、大学の規定は大小となく精確に守られた。同僚の教師たちがなまけて顔を出して・・・
和辻哲郎
「露伴先生の思い出」