・・・ 福田恆存にとっては、中国の人民が革命に勝利したこともどこまでがほんとかわからないことであったし、日本の国内で、日本の学者たち二十七名が非日委員会に反対の声明を行い、ひきつづき広汎な層をふくむ学者、有識人の全国的な「平和を守る会」を組織・・・ 宮本百合子 「五月のことば」
・・・特に農村では大衆の文化初等教育が、広汎に要求されている。 大衆の初等教育というのは、文盲打破にはじまって、彼等を楽しませながら教育する文学作品に対する活溌な受容力と批判力の養成を含むものではないであろうか。恐らく生れつき彼自身がひどく文・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 作家同盟婦人委員会が、プロレタリア文学における婦人の広汎な積極的な活動は真に階級的な文化闘争の一翼として、どれほど重大な意味をもつものであるか、各支部はこの分野の活動を直ちにとりあげるべきであることをいち早く各支部に徹底させることを遅・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・三月二十四日に予審が終った時、私は外に出たら何よりも先にあなたのところへ出かけてゆき、過去一年間の様々の経験の中から積み重ねた成長の花束を見せて上げたい、見て欲しいと思っていたのですが、公判がすまないうちは面会も手紙も許可されぬ由。其で、こ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・大泉という人の公判調書二通が一番新しい分です。おや、ここに小さい字があって、九月三日に五十三円もらったと書いてありました、奥さんの字よ。 輝ちゃんの毛糸のことは本当にいい思い付きです。あなたのジャケツは私の唯一の避難用下着だから、私ので・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・河合栄治郎の公判記録が、『自由に死す』というパンフレットになって刊行された。彼のような穏当な学究さえも彼の理性が超国家主義と絶対主義に服従しないで立っているという理由で起訴され裁判された。河合栄治郎が学者としての良心の最低線を守ろうとした抵・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 今年の前半は去年から引続き三鷹事件の公判が続くでしょう。この公判には組合の人々も都合して一人でも多く傍聴する必要があります。検事が不当な取調べをしたと云う事は公判第一日から五回迄の陳述の中に、ハッキリ述べられています。林弁護人の陳述の・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・いま公判がひらかれている吉村隊長が、外蒙の日本人捕虜収容所のボスとして行った残虐と背徳行為が社会問題化したのは、「暁に祈る」という怪奇なテーマをもつ記録文学がいくとおりか発表され、輿論の注目をひいたためであった。現地の軍当局の信じられないほ・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・ 暮から東京裁判はA級被告東條英機の公判に入った。ところがこの頃、わたしたちは、電車の中で折々どういう言葉をきくだろう。さすが東條だ、という声がある。えらい、と云われている声さえある。新聞は東條に再び人気が出たと書いている。これは、私た・・・ 宮本百合子 「砂糖・健忘症」
・・・そして、日大ギャング事件の山際・左文の公判記事は、大きく写真入りで扱われている。 信濃教育会教育研究所が、小学生の行動について父兄が問題だと考える点を調査したら、「無作法」各学年を通じて七〇%、「根気がない」三年七六%、六年七三%、・・・ 宮本百合子 「修身」
出典:青空文庫