・・・倖い私のはいった学校は自由を校風としていた。授業のはじめと終りに鳴る鐘は自由の鐘とよばれていて、その学校のシンボルであった。寄宿舎も自由寮という名がついていた。 私はその名に憧れて自由寮の寮生になった。ところが自由寮には自治委員会という・・・ 織田作之助 「髪」
・・・もし自由学園なら、あすこは生徒の親の資産調べと校風にしつけやすい特色の少い性格の子供をとることとで一部には有名であるから、作家の子供は敬遠したのかもしれない。 けれども、それにはかかわりなく、やはり出された質問の性質は今日の或る普遍性に・・・ 宮本百合子 「新入生」
・・・運動会か何かあるというとき、そういう一人の同級生が、私が前髪をわけて髪を結っているから校風に合わない、その髪を直して運動会へ来るように、といった。 そのときは、もう十六ではなかったし、仮にも大学というところで、校長はあんなに自由とか天才・・・ 宮本百合子 「青春」
・・・ 吾人はこの例を一高校風に適用し得べしと思う。吾人の四綱領は武士道の真髄でありソシアリティの変態であろう。しかれどもこの美名の下に隠れたる「美ならざる」者ははたして存在せざるか。向陵の歴史は栄あるものであろう。しかれどもこの影に潜める悪・・・ 和辻哲郎 「霊的本能主義」
出典:青空文庫