・・・プラトンのように寓話的なもの、ショウペンハウエルのように形而上学的なもの、エレン・ケイのような人格主義的なもの、フロイドのように生理・心理学的なもの、スタンダールのように情緒的直観的のもの、コロンタイのように階級的社会主義的のもの、その他幾・・・ 倉田百三 「学生と生活」
・・・この意味においては、われわれは蘇露のコロンタイ女史の如く、一にも二にも託児所主義であって、男子も婦人も家庭外に出て働くのが理想的であるという考え方にはとうてい賛成できない。 子どもの哺乳と養育とは母親にとって、もっと重く関心と、心遣いせ・・・ 倉田百三 「婦人と職業」
・・・深夜、裸形で鏡に向い、にっと可愛く微笑してみたり、ふっくらした白い両足を、ヘチマコロンで洗って、その指先にそっと自身で接吻して、うっとり眼をつぶってみたり、いちど、鼻の先に、針で突いたような小さい吹出物して、憂鬱のあまり、自殺を計ったことが・・・ 太宰治 「愛と美について」
・・・深夜、裸形で鏡に向い、にっと可愛く微笑してみたり、ふっくらした白い両足を、ヘチマコロンで洗って、その指先にそっと自身で接吻して、うっとり眼をつぶってみたり、いちど鼻の先に、針で突いたような小さい吹出物して、憂鬱のあまり、自殺を計った事がある・・・ 太宰治 「ろまん燈籠」
・・・ある人はコロンバスの卵を想起するであろう。卵を直立させるには殻を破らなければならない。アインシュタインはそこで余儀なく絶対空間とエーテルの殻を砕いたまでである。 殻を砕いて新たに立てた根本仮定から出発して、それから推論される結果までの論・・・ 寺田寅彦 「相対性原理側面観」
・・・ここでアインシュタインが出て来てコロンバスの卵の殻をつぶしてデスクの上に立てた。 だれにでもわかるものでなければそれは科学ではないだろう。 二 暦の上の春と、気候の春とはある意味では没交渉である。編暦をつかさ・・・ 寺田寅彦 「春六題」
・・・ 階級的な男女の結合というと、すぐコロンタイの「赤い恋」が話題にのぼったのは、かれこれ七年くらい前のことであろうか。当時私はモスクワにいた。そして本家本元のソヴェト同盟では厳密に批判され、本屋に本も出ていないようなコロンタイズムが流布す・・・ 宮本百合子 「新しい一夫一婦」
・・・ 私がまいりましたコロンビヤ大学の広い校庭などには、リスが沢山居ります。人が飼っているのではなく、野生なんですよ。それが皆な人になついて居ります。 子供などはよくピーナッツの皮をむいてはリスに投げてやります。すると枝にいるリスは・・・ 宮本百合子 「わたくしの大好きなアメリカの少女」
出典:青空文庫