・・・は人類が獣の皮を腰に巻きつけて棍棒と石でマンモスと戦った時代からの問題であった。 スパルタ以来最も台所から解放された市民はモスクと New York に発見されるであろう。最後にして最大の問題はこの社会的釜から体内に送られる不用なるバイ・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・四日頃からそのような武器を持つことはとめられ、みな樫の棍棒を持つことになった。 やりをかつぎ、闇からぬきみをつき出されたりした。 ◎野沢さんの空屋の部屋で、何かピカリピカリと電気が見えるので変に思って行って見ると、日本人の社会主義者・・・ 宮本百合子 「大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」
・・・メーデーには棍棒隊をくり出させて、端午は日本の男の節句と他方を向いて色刷写真を輸出させる日本の権力を恥多いものと感じない労働者があるだろうか。ことしの三月八日こそは、日本の人民にとって特別意義がふかい。日本と世界の平和確保のための全面講和を・・・ 宮本百合子 「婦人デーとひな祭」
・・・ 他にも、懇望して居る人があると云うので、Aは気が気でないらしく見えた。全く位置を云えば、又と此位近所に見当ろうとは思えない。 彼は、その晩も、牛込まで行った。翌日は、時間を繰り合わせて、内を見せて呉れる家主の細君を待ち合わせた。・・・ 宮本百合子 「又、家」
・・・ 九郎右衛門、宇平の二人は、大村家の侍で棒の修行を懇望するものだと云って、勧善寺に弟子入の事を言い入れた。客僧は承引して、あすの巳の刻に面会しようと云った。二人は喜び勇んで、文吉を連れて寺へ往く。小川と盗賊方の二人とは跡に続く。さて文吉・・・ 森鴎外 「護持院原の敵討」
・・・しかし、ロシアは彼の懇望を拒絶した。そうして、第二に選ばれたものはこのハプスブルグの娘ルイザである。ルイザにとって、ロシアは良人の心を牽きつけた美しきアンナの住む国であった。だが、ナポレオンにとっては、ロシアは彼の愛するルイザの微笑を見んが・・・ 横光利一 「ナポレオンと田虫」
出典:青空文庫