・・・ 一九三七年と云えば、中国への侵略戦争を拡大しながら日本の内部のあらゆる部面に軍事的な専制が強力にしかれはじめた時期であった。二・二六事件があったのが前年の三六年のことである。 一九三八年一月から中野重治と私と他に数人の評論家が、思・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第五巻)」
・・・現段階で帝国主義日本の革命的勤労大衆の前衛に課せられている任務は、広汎で具体的な帝国主義戦争反対の闘いであり、帝国主義戦争によって生じるあらゆる矛盾のモメントを内国的にはプロレタリア解放のために有利に強力に転化せしめることであり、そのために・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 強力だから、あばれると一寸相手がない。人々を振りほどいてまた、粗朶火をふり廻す。勘助は、黙って考えていたが、はっきり勇吉の耳元で叫んだ。「なる程、おらわるかった。折角おめえこの家焼きてえちゅうに止めだてしてわるかった。おらもじゃあ・・・ 宮本百合子 「田舎風なヒューモレスク」
・・・にまけることを潔しとせず、プロレタリア文学に反撥する強力な緊張で「寝園」「盛装」に到る境地を築き上げて来た。彼の見事さというものは、謂わば危くも転落しそうに見える房飾つきの水盃を、百尺竿頭に保っている、その際どいかね合いで、拍手は、その緊張・・・ 宮本百合子 「落ちたままのネジ」
・・・そういう姿にある時代錯誤の感じは、単なるハイカラ的見地からでなく現代の世界が使用している武器の機械的な強力さや精緻さは子供だって知っているのだから、女の子がなまじそんな木剣を背負って行進したりするところには、ちかごろ流行の詩吟や黒紋付姿同様・・・ 宮本百合子 「女の行進」
・・・私たちの善意が強力な構成をもったときである。〔一九四六年十月〕 宮本百合子 「現代の主題」
・・・然し、大阪、高知、長野等拡大中央委員会にわざわざ代表が出席した程比較的強力な支部からの報告でさえ、その中には一言も、支部に於ける婦人委員会の問題、婦人大衆に対する文学的働きかけについての対策というものは言及されていなかった。 これは作家・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・ろを与えるというならば、作者自身が、従順な奴隷八千五百万とよばれている人口のうちにこめられていることを自覚して、ファシズムと戦争挑発に反対署名し、全面講和要求に署名したとしても、ジャーナリズムを通して強力にすすめられているエロティシズムの愚・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・日本の独占資本がより強力な独占資本の庇護のもとに自身の存在を維持しようとしているとき、その利益を代表する政権が、真に民主的であり得ないことは明瞭である。すべての悪質な大衆課税を通過させた両院が承認する五人の放送委員が、真に公共の利益のために・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・当時のフランスの諸事情はもとより強力な背景として説明されているのであるが、統一的な文化上の目的のためには、それぞれの思想的傾向の中にふくまれている本質上の相異まで全く帳消しにして仕舞われたかのように紹介された。 次で重要なことは、「行動・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
出典:青空文庫