・・・こないだのガリヴァ後日物語は、少し陰惨すぎた。僕は、このごろまた、ブランドを読み返しているのだが、どうも肩が凝る。むずかしすぎる。」率直に白状してしまった。「僕にやらせて下さい。僕に、」ろくろく考えもせず、すぐに大声あげて名乗り出たのは・・・ 太宰治 「愛と美について」
・・・そうして後日、高い誇りを以て、わが見たところを誤またず描写しました。以下は、その原文であります。流石に、古今の名描写であります。背後の男の、貪婪な観察の眼をお忘れなさらぬようにして、ゆっくり読んでみて下さい。 女学生が最初に打った。自分・・・ 太宰治 「女の決闘」
・・・アプトデートのテエマで書いてくれ。期日は、明後日正午まで。稿料一枚、二円五十銭。よきもの書け。ちかいうちに遊びに行く。材料あげるから、政治小説かいてみないか。君には、まだ無理かな? 東京日日新聞社政治部、小泉邦録。」「謹啓。一面識ナキ小・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・山岸さんも、三田君のアッツ玉砕は、あの日の新聞ではじめて知った様子で、自分は三田君の遺稿を整理して出版する計画を持っているが、それに就いて後日いろいろ相談したい、という意味の御返事であった。遺稿集の題は「北極星」としたい気持です、小生は三田・・・ 太宰治 「散華」
・・・ 後日談は無い。 太宰治 「誰」
・・・それから、後日、このどろぼうが再び悪事を試み、そのとき捕えられて、牢へいれられても、私をうらむことはないであろう。私は、このどろぼうの風采に就いては、なんにも知らないということになっているのであるから、まさか、私がかれの訴人の一人である、な・・・ 太宰治 「春の盗賊」
・・・もしこれが後日、何か雑誌にでも掲載された場合、太宰はキザな奴だ、キリスト気取りで、あのヨハネ伝の弟子の足を洗ってやる仕草を真似していやがる、げえっ、というような誤解を招くおそれなしとしないので一言弁明するが、私はただはだしで歩いている子供の・・・ 太宰治 「美男子と煙草」
・・・ このほか三通、気にかかっている書簡があるのだけれど、それらに就いては後日、また機会もあろう。追記。文芸冊子「非望」第六号所載、出方名英光の「空吹く風」は、見どころある作品なり。その文章駆使に当って、いま一そう、ひそかに・・・ 太宰治 「もの思う葦」
・・・先日のモデルの後日談をも聞いてみたかったのである。玄関の呼鈴を押したら、出て来たのは、あのひとである。先日のモデルである。白いエプロンを掛けている。「あなたは?」私は瞬時、どぎまぎした。「はあ。」とだけ答えて、それから、くすくす笑い・・・ 太宰治 「リイズ」
・・・それが二、三ヶ月後くらいに新聞の広告に大きく名前が他の諸先輩と並んで出て、それが後日第一回芥川賞の時に候補に上げられました。 その「逆行」と殆ど前後して同人雑誌「日本浪曼派」に「道化の華」が発表されました。それが佐藤春夫先生の推奨にあず・・・ 太宰治 「わが半生を語る」
出典:青空文庫